【アーティストプロフィール】滋賀生まれ、沖縄育ち。滋賀での結成から間も無く、より豊かな感性で楽曲作成に取り組む為、2009年、沖縄に拠点を移し約4年間活動してきた。そして2012年7月更に多くの人達に発信していくため、再び滋賀に拠点を移した。変わり続ける彼らが結成当初より変わらないCOLORは、心躍らせる軽快なrhythm、心に響くLyric、ジャンルを超えたStyle、これが、W-D4 唯一無二の武器となり、そして走り続けている。

2009年08月19日

僕と沖縄 ~小説・海編~

僕と沖縄 ~小説・海編~

沖縄県北谷町美浜。
海が綺麗で、英語が多く飛び交うこの町に、僕とスミスは居た。



この日の朝。

皆より少し早めに起きた僕は干したままになっていた洗濯物を取り込み、
少し汚れていた洗面所を掃除し、
一服した後、前々から考えていた新曲の歌詞を考えていた。


華火。

長い間付き合っていた彼女に振られた男が
ある夏の日、花火を見て付き合っていた彼女の面影を見る。

失恋の歌だ。



タイトルは決まっていたがなかなか歌詞を書き出せずにいた。



スミスが起きて残りの洗濯物を干す。
洗濯が終わると眠たそうな目でTVゲームをしていた。
メンバーのyowが起きてきたかと思えばすぐにバイトに出かけた。

そんな中で作詞に煮詰まっていた僕はインスピレーションを求めて海に出かけることにし支度を始めた。


「ボク モ イクダカラ。」
TVの画面を見ながらスミスが言った。


昨日ケニアへの里帰りから帰ってきたスミスに久しぶりに沖縄の海を見せてやるのもいいだろう、と思い
スミスも一緒に連れて行くことにした。

ゲームを辞めせっせと支度を始めたかと思ったら、スミスの手にはシュノーケルと魚を刺すためのモリ。
そして、水着姿。


僕は普段着にギター。

スミスは狩りスタイル。


ハタから見れば異様な二人だったに違いないだろう。
それでも僕たちはお互いの目的の為に車に乗り込み家を出た。


家を出たときすでに雨が少し降っていたが車を走らせる毎に雨脚が強くなり
当初の目的地だった家から近いビーチを諦め
ずっと離れた所にある北谷町美浜を目指した。


美浜に着くとそこはもう別世界のように晴れていた。
沖縄らしい。


車を駐車場に停め、各々の武器を手に取り(僕はギター)
ライフセイバー達が目を光らせる遊泳区域を素通りし
遊泳禁止区域まで歩いた。


釣り人や
海沿いの舗装された道をジョギングする人、
若いカップル。
太陽の光が海面を照りつけ、まばゆいばかりの光達が僕らに挨拶をする。
やはり海はいい。


僕とスミスは早速Tシャツを脱ぎ各々の準備を始めた。


堤防に腰を掛け僕はまず新曲を歌詞の出来ている所までギターを弾きながら歌った。
そしてあーだこーだと考えている内に下の方から声がしてきた。

スミスだ。


「コワイ、ボク・・・・コワイ。サメ、デル。」


やれやれ。
こんな所にサメは居ない。と僕は言ったがスミスは海に潜む見えない恐怖に怯えていたようだった。

スミスは怯えながらもしばらく浅瀬で魚を捕らえようとしていたが
魚を刺せないことに飽きたのか堤防の上で作詞している僕にこう言った。


「コン、サセ。パンツ、カワク。」


一度は断ったが、何度も海に入れというスミスに渋々従い僕はズボンを脱いだ。
まだまだ照り付けている太陽。
僕はさっさと魚を刺して作詞に戻ろうと思いスミスの方へ向かった。
例え刺せなくても、魚はいないと適当な事を言って戻ればいい。

そして僕はスミスからシュノーケルとモリを借りて海に入った。
僕と沖縄 ~小説・海編~
海に入ると水は思っていたより温く、
水中メガネを通しても少し前は見えないくらい濁っていた。


見えない恐怖。


そんな中、沖縄に来てすぐのころ実家のおばぁちゃんが電話でよくこう言っていたのを思い出した。




「ハブクラゲ-、ウミヘビ-、デンジャラース。」




僕は、少しだけ怖くなった。

もし襲われたら・・・・・・
だがスミスにあれだけ大丈夫と言ってしまったのでなかなか帰るに帰れなかった。


そこで僕は何度か潜ってみたものの大きな魚がいなかったので
「魚はいない。」
とスミスの方へ戻ろうとした、

その時だった。






僕と沖縄 ~小説・海編~


刺された。

そう、ハブクラゲ的な。
アレに。
(ハブクラゲです。)


刺された瞬間、僕はナゼか、潜った。
歩いた方が完全に速く岸に着くくらいの浅瀬で、潜った。




パニーック。




だが、それ以上にパニックだったのはスミスだった。

岸に着いた僕がハブクラゲに刺されたと言うとスミスは

「オッ、オ、オ、オ、 シヌ!! シヌ!! 」



連呼。



「ションベ、カケナキャ、デモ、イマハ・・・・・デナイ。 シヌ!! シヌ!! ライフセイバー!!」

心配してくれているんだなぁ。
とスミスのことを改めて優しい人種なんだということを再確認し
僕はスミスの言う通りにし、遊泳区域にいたライフセイバーに事情を話しに行った。

酢をくださいと言ったが酢はないとのコトで氷を貰い冷やさせてもらった。


ライフセイバーの落ち着いた対応に
死なないんだ。とスミスも落ち着きを取り戻したようだった。




お金が無かった僕は帰りに酢と氷をスミスに買ってもらい
酢と、潮の匂いで充満した車で歌詞が出来上がらないまま帰路に着いた。




僕は車の窓越しに見える夕焼け空を見ながら考えていた。







何をしに、来たんだろうと。








夏の終わりが、もうそこまで近づいていたある日の話し。
僕と沖縄 ~小説・海編~



ショウセツカ・コン



Posted by W-D4 at 00:36│Comments(2)
この記事へのコメント
そこで潜ったらダメよー。

おれ、釣りしてたら滑っていろんなところすりむいたもん(´д`;)

なんか違うな…。
Posted by カオル at 2009年08月20日 21:59
なんか違いますよね・・・・・。

ハブクラゲやばいわ~・・・・。
Posted by コン at 2009年08月21日 14:56
 
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